小児期から思春期にかけての慢性頭痛患者に対する脳波検査の評価

小児期から思春期にかけての頭痛診断に対して脳波検査の重要性を確認するため、慢性に再発を繰り返す頭痛のあった425例の患者記録を検討してみた。脳波記録は、頭痛発作時に40例で記録され、412例では、頭痛発作間欠時の脳波記録であった。結論として云えることは、前兆を伴う片頭痛の発作時には、脳波検査がとりわけ役に立つ検査であったということです。つまり、頭痛発作時の脳波には一過性異常が認められたため、それが診断に役立つ可能性があるのだ、ということです。しかしながら、非発作時の脳波では正常である場合がほどんどだった、という結果も得られています。

Eur J Pediatr 1999 Mar;158(3):247-8



頭痛精査目的での脳波検査の意義とは

脳波検査は中枢神経系疾患の診断目的に行われる一般的な検査です。1995年米国神経学会のある分科会は、頭痛精査における脳波検査の役割について実践的な指針を発表しました。その指針とは、過去文献と臨床治験の分類と考察に基づいて、決定されたものです。

そのガイドラインによれば、脳波検査は「頭痛患者の日常的検査としては役に立たない。」というものでした。とはいえ付帯的な意見として、「だからと云って、前兆を伴うような非定型的片頭痛患者や時々意識消失をきたす患者のような、痙攣性疾患を思わせる症状を伴う頭痛患者に対しての脳波検査を否定するものでは無い。しかしながら、頭部画像診断機器が容易に利用できるようになった今日の現状では、脳波検査は、脳内器質的異常の原因をさぐる手だてとしては推奨できるものではない(時代遅れなのですよ)。」と云っているのです。

ガイドライン作成には文献の総説を使い、その定式化に当たっては、1966年〜1994年までに発表された40個のアーテイクルを使用しました。その結果示されたことは、

(1) 脳波検査は頭痛精査目的としては不適切である。

(2) 脳波検査ではどのような頭痛なのかを調べることはできない。

(3) 脳波検査では脳内の器質的疾患を調べることはできない。(例えば、脳腫瘍や脳内出血などの検査には使えない。)

もちろん、脳波検査は「てんかん」に対しては特に重要な検査なのですが、こと頭痛を精査するという意味においては無用の検査と考えるべきものなのです。結論としては、頭痛精査として有効な検査は頭部CTや頭部MRIのような検査だということです。

http://www.ama-assn.org/special/migraine/treatmnt/eeg.htm