1995年、日本で開発され、亜急性期から慢性期にかけての脳卒中の症状を評価する。

機能

課題

得点

摘要

運動機能

上肢近位(knee-mouth test)

座位において患側の手部を対側(大腿)上より挙上し、手部を口まで運ぶ。その際、肩は90°まで外転させる。そして膝上まで戻す。これを3回繰り返す。肩・肘関節に拘縮が存在する場合は可動域内での運動をもって課題可能とする。

0

全く動かない。

1

肩のわずかな動きがあるが、手部が乳頭に届かない。

2

肩肘の共同運動があるが、手部が口に届かない。

3

課題可能。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり。

4

課題可能。軽度のぎこちなさあり。

5

健側と変わらず。正常。

運動機能

上肢遠位(finger-function test)

手指の分離運動を、母指〜小指の順に屈曲、小指〜母指の順に伸展する。

0

全く動かない。

1

  • 1A わずかな動きがある。
  • 1B 集団伸展が可能。
  • 1C 分離運動が一部可能。

2

全指の分離運動可能なるも屈曲伸展が不十分である。

3

課題可能(全指の分離運動が充分な屈曲伸展を伴い可能)なるも、中等度のあるいは著明なぎこちなさあり。

4

課題可能。軽度のぎこちなさあり。

5

健側と変わらず。正常。

運動機能

下肢近位(股)(hip-flexion test)

座位にて股関節を90°より最大屈曲させる。3回行う。必要ならば座位保持のための介助をして構わない。

0

全く動かない。

1

大腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない。

2

股関節の屈曲運動あり。足部は床から離れるが充分ではない。

3〜5

knee-mouth testの定義と同一。

運動機能

下肢近位(膝)(knee-extension test)

座位にて膝関節を90°屈曲位から充分伸展(-10°程度)させる。3回行う。必要ならば座位保持のための介助をして構わない。

0

全く動かない。

1

下肢にわずかな動きがあるが足部は床から離れない。

2

膝関節の伸展運動あり。足部は床から離れるが、充分ではない。

3〜5

knee-mouth testの定義と同一。

運動機能

下肢遠位(foot-pat test)

座位または臥位、座位は介助しても可。踵部を床につけたまま、足部の背屈運動を協調しながら、背屈・底屈を3回繰り返し、その後なるべく速い背屈を繰り返す。

0

全く動かない。

1

わずかな背屈運動はあるが前足部は床から離れない。

2

背屈運動あり。足部は床より離れるが充分でない。

3〜5

knee-mouth testの定義と同一。

筋緊張

上肢筋緊張 U/E(upper extremity) muscle tone

肘関節を他動的に伸展屈曲させ、筋緊張の状態を評価する。

0

上肢の筋緊張が著明に亢進している。

1

  • 1A 上肢の筋緊張が中等度(はっきりと)亢進している。
  • 1B 他動的筋緊張の低下。

2

上肢の筋緊張が軽度(わずかに)亢進している。

3

正常。健側と同じ。

筋緊張

下肢筋緊張 L/E(lower extremity) muscle tone

膝関節の他動的屈曲伸展により評価する。上肢筋緊張の項、「上肢」を「下肢」に読み替える。

0〜3

上肢筋緊張を参照。

筋緊張

上肢腱反射 U/E DTR (biceps or triceps)

0

biceps あるいは triceps 反射が著明に亢進している。あるいは容易にclonus(肘、手関節)が誘発される。

1

  • 1A biceps あるいは triceps 反射が中等度(はっきり)亢進している。
  • 1B biceps あるいは triceps 反射がほぼ消失している。

2

biceps あるいは triceps 反射が軽度(わずかに)亢進している。

3

biceps あるいは triceps 反射とも正常。健側と対称的。

筋緊張

下肢腱反射 L/E DTR (PTR or ATR)

0〜3

0,1B,2,3 についてはbiceps, triceps を PTR, ATR と読み替える。

1A についてはPTR あるいは ATR 反射が中程度(はっきり)に亢進している。unsustained clonus を認める。

感覚

上肢触覚 (U/E light touch)(手掌)

0

強い皮膚刺激も分からない。

1

重度あるいは中等度低下。

2

軽度低下あるいは主観的低下、または異常感覚あり。

3

正常

感覚

下肢触覚 (L/E light touch) (足底)

0〜3

上肢触覚の定義と同一。

感覚

上肢位置覚 (U/E position) (母指or 指指)

指を他動的に運動させる。

0

全可動域の動きも分からない。

1

全可動域の運動なら方向が分かる。

2

ROMの1割以上の動きなら方向が分かる。

3

ROMの1割未満の動きでも方向が分かる。

感覚

下肢位置覚 (L/E position) (母趾)

趾を他動的に運動させる。

0

全可動域の動きも分からない。

1

全可動域の運動なら方向が分かる。

2

ROMの5割以上の動きなら方向が分かる。

3

ROMの5割未満の動きでも方向が分かる。

関節可動域・疼痛

上肢関節可動域 (U/E ROM)

他動的肩関節外転を行う。

0

60°以下

1

90°以下

2

150°以下

3

150°以上

関節可動域・疼痛

下肢関節可動域 (L/E ROM)

膝伸展位にて他動的足関節背屈を行う。

0

-10°以下

1

0°以下

2

10°以下

3

10°以上

関節可動域・疼痛

疼痛 pain

脳卒中に由来する疼痛の評価を行う。既往としての整形外科的(腰痛など)、内科的(胆石など)疼痛は含めない。また、過度でない拘縮伸長時のみの痛みも含めない。

0

睡眠を妨げるほどの著しい疼痛。

1

中等度の疼痛。

2

加療を必要としない程度の軽度の疼痛。

3

疼痛の問題が無い。

体幹機能

垂直性 verticality test

0

座位がとれない。

1

静的座位にて側方性の姿勢異常があり、指摘・指示にても修正されず、介助を要する。

2

静的座位にて側方性の姿勢異常(傾で15°以上)があるが、指摘・指示にてほぼ垂直位に修正・維持可能である。

3

静的座位は正常

体幹機能

腹筋 abdominal MMT

車椅子または椅子に座り、臀部を前にずらし、体幹を45°後方へ傾け、背もたれによりかかる。大腿部が水平になるように検者が押さえ、体幹を垂直位まで起き上がらせる。検者が抵抗を加える場合には、胸骨上部を押さえること。

0

垂直位まで起き上がれない。

1

抵抗を加えなければ起き上がれる。

2

軽度の抵抗に抗して起き上がれる。

3

強い抵抗に抗して起き上がれる。

高次脳機能

視空間認知 visuo-spatial deficit

50cmのテーブルを眼前50cmに提示し、中央を健側指で示させる。2回行い、中央よりのズレの大きい方を採用する。

0

15cm以上

1

5cm以上

2

3cm以上

3

3cm未満

高次脳機能

言語 speech

失語症に関して評価する。構音障害はこの項目に含めない。

0

全失語症。まったくコミュニケーションがとれない。

1

  • 1A 重度感覚性失語症(重度混合性失語も含む)
  • 1B 重度運動性失語症

2

軽度失語症

3

失語症無し。

健側機能

握力 gripstrength

座位で握力計の握り幅を約5cmにして計測する。健側の具体的kg数を記載すること。

0

握力0kg

1

握力10kg以下

2

握力10〜25kg

3

握力25kg以上

健側機能

健側大腿四頭筋力 quadriceps MMT

座位における健側膝伸展筋力を評価する。

0

重力に抗しない。

1

中程度に筋力低下。

2

わずかに筋力低下。

3

正常